今のその人を見ること 〜jkから学んだ夏〜

8月も思えば終盤でこのクソ暑かった夏もとうとう終わる。

そういえば今年はスイカ食べてねえなぁー。気温のわりに夏を感じれなかったのもそのせいかー

とか考えながら僕は地元の海で夕方に一人佇んでた。

当然お盆に入ると海水浴のシーズンも終わるし時間帯も時間帯だしこんな時間にこんなとこに来てるのなんて俺くらいだろうなぁ〜とか考えてた。

(さ、たっぷりリフレッシュできたし帰るか!)そんなことを思いながら座ってた切り株から立ち上がった瞬間こちらに向かって歩いてくる人が来るじゃないか、、、、、、、、、

 

見るとだいたい高校生くらいのショートボブの素朴な少女だった。

 

その少女は僕の座ってた切り株から10mくらい離れた切り株に腰をかけて黙ってさっきまでの僕のように海を眺めていてすごく浮かない顔をしていた。

 

(まあ年頃の子だし悩みの一つくらいあんだろ)とか思いつつもついその子のことがどうしてもほっておけず一度は駐車場に向けて帰りの道中を歩いたものの引き返してつい話しかけてしまった。

👦「やあ、いい風吹いてるね。目元がすごい涼しげだよw」

👩「わあびっくりしたぁ!!お兄さん誰ですか?」

👦「名乗るほどのものではないけど姿勢がめちゃくちゃよかったからさ。もしかしてミーヤキャットの生まれ変わりかなって思って気になってね。」

👩「wwwwwwwなんかおもしろいですね。お兄さん」

 

って感じで一歩間違えたら、いや間違いなく不審者にしか思われない声の掛け方だったけど馴れ初めができた。

👦「真面目な話なんか浮かない顔してたからさ俺でよかったら聞かせてよ。」

👩「いやぁーちょっとwまあなんでもないです。」

 

まあそりゃそうだろうな初めて会ったようわからん男にいきなり悩みなんて話すわけないわなぁ

知ってる知ってる。

👦「わかった!失恋でしょ?だから髪短くしたんでしょ?」←コールドリーディングっていう話術。めっちゃ使えるから皆さんも是非(笑)

👩「違いますよwてかお兄さん元々の髪の長さ知らないでしょw」

👦「へぇーなんだろ、高校生 女子 悩み 検索っと」

👩「wwwwうけるww初めてこんな人と会いましたwww」

 

って感じのテンションで10分くらいはなすと女の子のほうから悩みを打ち明けてきた。

👩「私小学校から仲良くしてた親友から嫌われちゃったんです。元々ずっと一緒にいてその子のことならなんでも知ってるって感じだったんです。昨日SNSブロックされちゃって」

👦「それは悲しいね。なんか心当たりとかはないの?」

👩「私の高校クラスにそのSNSブロックされた親友ともう一人中学校の同級生(A)がいるんです。そのAは中学校の時は性格が本当に悪くて私も私の親友も本当嫌いでした。ただ高校に入ってからは人が変わったかのように勉強も頑張るし、クラスの人にも分け隔てなく接するし掃除とかの雑用もまじめにやってくれるようになりました。ただそんなAのことを私の親友は「中学校の時はこうだったとか」「あの子の本性は腹黒い」とかクラスの人に言いふらすんです。そしてAはクラスでどんどん孤立するようになっていきました。私は過去はどうであれ今のAがすごい頑張ってるの見てたしとうとう親友に言ったんです。「過去のことを持ち出すのは違うんじゃないんかって大事なのは今のAをしっかり見てあげることなんじゃないかって」そうしたら嫌われちゃって(笑)私バカですよね。黙って見てみぬふりをしたら親友とずっと仲良くできたかもしれないのに」

 

世の中は基本的にいつだってそうだ。人を減点方式で見る人がほとんどだろう。

例えばいつも笑顔でみんなに優しい(B君)と人を裏切るようなことや盗みを平気で繰り返す(C君)がいたとしよう。いつも笑顔で優しいB君がホームレスに唾を吐いたり、人のお金を盗むようなことをしたら当然好感度は下がるだろう。ただ最低なC君がその後例え心を入れ替えて足腰の弱い老人に優しくしていたり地元でボランティア活動をしていても、(あいつ過去にああいうことしたしなぁ)ってなって好感度が上がるケースは少ないのは事実ではないだろうか。もしかしたら心を入れ替えてはいないかもしれない。そのAちゃんだって今優等生を演じてるのだってポーズなのかもしれない。そのAちゃんに親友の子は中学生のとき絶対許せないような嫌なことをされたのかもしれない。その子の話しか聞いておらずその子たちの心情を知らない僕は誰もせめることはできない。ただ裏切られる可能性がある中でAちゃんを信じる勇気を持ったこの子がなぜ傷つかなきゃいけないのか、、

本当に世の中は理不尽だと思う。

 

👦「たしかに親友に同調しておけば今回に関しては嫌われずにすんだのかもしれないね。ただ今回の君のその選択は間違ってないと思う。元々マイナスのイメージしかなかった子のよさをしっかり見てあげるのは誰でも出来ることじゃないし、第一同調圧力に屈さず自分の考えを親友に言えることはすごいと思う。そしてなにか引っかかった中で友達関係を続けると遅かれ早かれ経験上必ず破綻するよ。だから今回の君の行動は正解だと思うし俺だったらそうする。素直で思いやりがあって勇気がある子なんやなぁ。ほんま頑張ったね。誰でもできることじゃないよ。」

友達を否定するわけでなく彼女の勇気ある行動を称えるような言葉。そんな言葉をかけたと思う。

👧「意外としっかりしてるんですね。最初話しかけられた時やばい人かと思ってましたww」

この言葉が今の彼女にどれだけ響いたかはわからないがさっきまでの笑顔とは打って変わって自然な笑顔を見せてくれたような気がした。ただ今思うと「親友に嫌われて辛い。」その気持ちにもうちょっと寄り添ってあげれる言葉をかけてあげるべきだったと思う。

 

それから先は本当に他愛もない話をした

・教師になるために勉強を一生懸命がんばっていること

・歌が上手くなりたくて母親に頼み込んで週に1回ボイトレ教室に通っていること

・片想いしている大好きな人がいること

僕自身も彼女と似たような経験をしたことがあったから

👦「おれもそういうことあってさー」みたいな話をしたと思う。

彼女は本当に楽しそうに話してくれてそれらの話を聞いていたらあっという間に時間がたち気づけば日が暮れていた。

👦「さ、そろそろ帰ろうかお母さんも心配してるだろうしさ」

👧「帰り送ってってくださいよー」

って感じで彼女を送っていくことになった。

助手席に片づけ忘れて置きっぱなしだったコンドームの箱を興味津々でまじまじと見てた顔は多分一生忘れないだろう。まるで赤ちゃんが産まれて初めて犬をみたようなそんな顔をしていた。

👧「ここで大丈夫です!」

気づけばあっという間に指定されたコンビニまでついていた。

👦「りょうかい!気をつけてかえってね!」

👧「ほんとにありがとうございました!夏休みで一番の思い出になりました!悩み誰にも言えなかったし私自分のとった行動すごい後悔してました!ただ〇〇さんのおかげで私間違ってないんだなって思えました!高校生活がんばりますね!」

そういって車から降りて姿が見えなくなるまで手を振ってくれる彼女の顔はなんだか晴れやかに見えた。連絡先も聞いてないしいくら田舎とはいえもう会うことはないかもしれない。

 

飛ぶ鳥跡を濁さず。僕にしてはいい出会いと別れだったんじゃないだろうか、いや地に足がついてないだけか笑

帰りの日が暮れた帰路のなかでこれからは彼女のように改めて過去に何があろうが関係ない。今のその人を見よう。心からそう思った。

 

そんな体験をしたアラツー最後の夏。